結論 #

筋トレをすると、筋肉のタンパク質が壊されて作り直される量が増え、1日に必要なタンパク質量が上がります。増えた分を食事だけで足そうとすると量も手間もかさむため、粉末で埋める人が多い。それだけの理由です。

どれくらい必要量が変わるのか #

厚生労働省の食事摂取基準が示す成人の推奨量は、体重1kgあたり0.83gを基礎に算定されています。運動習慣を前提にしない、一般的な生活での値です。

一方、筋トレを続けている人を対象にした49件の試験(1,863人)のメタ解析では、タンパク質摂取を増やすほど筋量の増加が大きくなる関係が、体重1kgあたり1.62gで頭打ちになりました。これ以上増やしても上乗せが確認されなかった水準、という意味です。

体重 一般成人の推奨量の基礎(0.83g/kg) 上乗せが頭打ちになる水準(1.62g/kg) 差を鶏むね肉に換算
60kg 50g 97g 約202g
70kg 58g 113g 約236g
80kg 66g 130g 約275g

鶏むね肉(皮なし・生)100gのタンパク質23.3gで換算した計算例です。差は毎日、主菜をもう一皿増やすくらいの量になります。

つまり #

プロテインは筋トレする人専用の特別な飲み物ではなく、増えた必要量を埋める手段のひとつ。食事でその量に届いているなら、飲む理由はありません。


出典・根拠 #

  1. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」たんぱく質(推定平均必要量0.66g/kg体重/日、推奨量算定係数1.25)
  2. Morton RW, et al. (2018) A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults. British Journal of Sports Medicine, 52(6), 376–384.(プラトー推定値1.62g/kg体重/日、95%CI 1.03–2.20)
  3. 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」若どり・むね・皮なし・生