結論 #

摂取量を増やすと、体はアミノ酸を処理する能力を数日かけて上げます。窒素出納の試験で慣らし期間が必要なのはこのためです。ただし、慣れることで効き目が落ちるわけではありません。

数日かけて処理側が追いつく #

タンパク質の摂取量を急に増やすと、最初は処理が追いつかず、窒素の出納が一時的にプラスに振れます。数日かけて、余ったアミノ酸を分解する経路と、窒素を尿素に変える経路の働きが高まり、新しい摂取量に釣り合う状態に落ち着きます。

このため、窒素出納で必要量を測る研究では、測定の前に一定期間、同じ摂取量を続ける慣らし期間を置きます。慣らしを省くと、適応の途中の値を測ってしまい、必要量の推定がずれます。

逆向きにも適応します。摂取量を減らすと、アミノ酸を分解する働きが下がり、少ない量でやりくりする状態になります。

ここで注意したいのが、「体が慣れるとプロテインが効かなくなる」という説です。適応が起きるのはアミノ酸の処理側で、筋肉がアミノ酸に反応しなくなるという意味ではありません。摂取量を周期的に変えるべきだ、という根拠も見当たりません。

つまり #

適応するのは処理の側で、効き目の側ではありません。摂取量を変えたら、体が落ち着くまで数日かかると考えておけば十分です。

出典
  1. Rand WM, Pellett PL, Young VR. (2003) Meta-analysis of nitrogen balance studies for estimating protein requirements in healthy adults. American Journal of Clinical Nutrition, 77(1), 109–127.(慣らし期間の扱い)
  2. Humayun MA, et al. (2007) Reevaluation of the protein requirement in young men with the indicator amino acid oxidation technique. American Journal of Clinical Nutrition, 86(4), 995–1002.
  3. Antonio J, et al. (2016) A High Protein Diet Has No Harmful Effects: A One-Year Crossover Study in Resistance-Trained Males. Journal of Nutrition and Metabolism, 2016, 9104792.(長期にわたる高タンパク食)