結論 #
2〜3個つながった短いペプチドには、アミノ酸とは別の専用の取り込み口があります。そのため、同じ量ならペプチドの形のほうが速く取り込まれます。
入口が2種類ある #
小腸の壁には、アミノ酸を1個ずつ運ぶ輸送体と、2〜3個のペプチドをまとめて運ぶ輸送体(PepT1)の両方があります。ペプチドの側は一度に運べる量が多く、しかも相手をあまり選びません。
そのため、アミノ酸を1個ずつ通すよりも、2〜3個つながった状態のほうが、同じ時間に多くを送り込めます。この仕組みは輸送体の研究で整理されています。
実際の測定でも、加水分解したタンパク質のほうが、もとのタンパク質より速く吸収されました。
ただし、ここから2つの飛躍が起きがちです。
1つ目は「速いほうが筋肉がつく」という飛躍です。その場の吸収速度と、数か月後の筋量の関係は確かめられていません。
2つ目は「分解が進んでいるほど速いのだから、EAAなどのアミノ酸サプリのほうがさらに良い」という飛躍です。バラバラの状態で入っているアミノ酸は1個ずつの輸送体を使うため、ペプチドより速いとは限りません。必須アミノ酸だけを摂った試験で筋タンパク質合成が上がることは確認されていますが、これは吸収速度ではなく組成の話です。
つまり #
短いペプチドには専用の入口があり、実際に速く入ります。ただしその速さが結果に効くかどうかは、別に確かめる必要があります。
出典
- Daniel H. (2004) Molecular and integrative physiology of intestinal peptide transport. Annual Review of Physiology, 66, 361–384.(PepT1によるジ・トリペプチドの輸送)
- Koopman R, et al. (2009) Ingestion of a protein hydrolysate is accompanied by an accelerated in vivo digestion and absorption rate when compared with its intact protein. American Journal of Clinical Nutrition, 90(1), 106–115.
- Volpi E, et al. (2003) Essential amino acids are primarily responsible for the amino acid stimulation of muscle protein anabolism in healthy elderly adults. The American Journal of Clinical Nutrition, 78(2), 250–258.