結論 #
消化はタンパク質の鎖を切る作業、吸収は切り分けた断片を腸の壁から体内へ取り込む作業です。この2つを1つにまとめて考えると、「一度に吸収できる量には上限がある」という誤解が生まれます。
切る工程と、通す工程 #
タンパク質はアミノ酸が数百個つながった鎖です。胃のペプシン、小腸のトリプシンやキモトリプシンが順に切り、最後に小腸の粘膜にある酵素がアミノ酸や2〜3個のペプチドまで分解します。ここまでが消化です。
吸収は、その小さくなった断片が小腸の粘膜を通って血液に入る段階を指します。健康な人なら、1回の量を増やしてもここは通ります。ミルクタンパク質100gを摂った試験でも、大部分が吸収されました。
ただし、口に入れた量がそのまま血液に入るわけではありません。消化されずに大腸まで届く分があり、その割合は原料で変わります。
| 原料 | 消化吸収率の目安 |
|---|---|
| 肉・魚・卵・乳 | 90〜95% |
| 豆・穀類などの植物性 | 70〜90% |
「吸収しきれない」と言われるとき、実際に頭打ちになっているのは、吸収の先にある「筋肉づくりに回る量」のほうです。腸の通り道が詰まっているわけではありません。
つまり #
消化は切る、吸収は通す。上限があるように見えるのは、そのどちらの段階でもありません。体がアミノ酸をどう使うかという、その先で起きていることです。
出典
- FAO (2013) Dietary protein quality evaluation in human nutrition. FAO Food and Nutrition Paper 92.(食品群別の消化吸収率)
- Trommelen J, et al. (2023) The anabolic response to protein ingestion during recovery from exercise has no upper limit in magnitude and duration in vivo in humans. Cell Reports Medicine, 4(12), 101324.(100g摂取時の吸収量の測定)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「たんぱく質」(消化酵素と吸収の過程)