結論 #
飲んだ粉がそのまま筋肉になるわけではありません。プロテインは胃と小腸でアミノ酸まで分解され、血液に乗って全身へ配られます。筋肉づくりに回るのは、そのうちの一部です。反応は数時間で終わります。
1杯を飲んでからの数時間 #
| 飲んでから | 体の中で起きていること |
|---|---|
| 0〜30分 | 胃で立体構造がほどけ、酵素が鎖を切りはじめる |
| 30分〜1時間半 | 小腸から吸収され、血中アミノ酸が高くなる |
| 1〜3時間 | 筋タンパク質合成が立ち上がり、高い水準が続く |
| 4〜5時間 | タンパク質25g程度なら安静時の水準に戻る |
ホエイは胃にとどまる時間が短いので、血中アミノ酸が一気に高くなります。カゼインは胃酸で固まってゆっくり流れ出るため、同じ量でも上がり方がゆるやかです。その代わり、高い状態が長く続きます。ホエイとカゼインを比べた1997年の試験が、この違いを最初に示しました。
安静時の水準に戻るまでの時間は、1回の量で決まります。ミルクタンパク質100gを摂った試験では、筋タンパク質合成が12時間以上高いままでした。同じ試験の25gは、4〜5時間で戻っています。

配られる先は筋肉だけではありません。1回の食事で、血液中のアルブミンなど筋肉以外のタンパク質の合成も同時に高まります。
つまり #
1杯の効き目は数時間で切れます。だから「何を飲むか」より「1日のうち何回入れるか」が問題になります。
出典
- Boirie Y, et al. (1997) Slow and fast dietary proteins differently modulate postprandial protein accretion. Proceedings of the National Academy of Sciences, 94(26), 14930–14935.(ホエイとカゼインの血中アミノ酸の推移)
- Trommelen J, et al. (2023) The anabolic response to protein ingestion during recovery from exercise has no upper limit in magnitude and duration in vivo in humans. Cell Reports Medicine, 4(12), 101324.(25gと100gの持続時間の比較)
- Moore DR, et al. (2009) Ingested protein dose response of muscle and albumin protein synthesis after resistance exercise in young men. American Journal of Clinical Nutrition, 89(1), 161–168.(筋肉とアルブミンの合成を同時に測定)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「たんぱく質」(消化・吸収の過程)