結論 #

タンパク質を摂ると、糖質がなくてもインスリンが出ます。インスリンの役割は筋タンパク質の分解を抑えることで、合成を高める役はアミノ酸が担います。

2つの役が分かれている #

インスリンは糖質に反応して出るホルモンとして知られていますが、アミノ酸にも反応します。ホエイではこの反応が特に大きく、乳製品を摂ったときのインスリンの出方は、含まれる糖質の量から予想される水準を上回ると報告されています。

役割分担を切り分けた研究があります。ヒトの筋肉でアミノ酸とインスリンの効果を別々に測ったところ、アミノ酸は合成を高め、インスリンは分解を抑える側に働きました。両方が同じことをしているわけではありません。

この役割分担を踏まえると、「トレーニング後は糖質を一緒に摂ってインスリンを出すと筋肥大に有利」というよく聞く助言は、根拠が弱くなります。タンパク質に糖質を加えた条件と、タンパク質だけの条件を比べた試験では、運動後の筋タンパク質の蓄積に差がありませんでした。タンパク質だけでインスリンは十分に出ており、糖質を足しても上乗せがなかった、という読み方になります。

糖質を一緒に摂る理由が消えるわけではありません。運動で減ったグリコーゲン(筋肉に蓄えてある糖)を戻すには、糖質が要ります。目的が違うだけです。

つまり #

インスリンは分解を抑える側の担当で、タンパク質だけでも十分に分泌されます。筋肥大を目的に糖質を足す根拠は、今のところ見当たりません。

出典
  1. Power O, Hallihan A, Jakeman P. (2009) Human insulinotropic response to oral ingestion of native and hydrolysed whey protein. Amino Acids, 37(2), 333–339.
  2. Greenhaff PL, et al. (2008) Disassociation between the effects of amino acids and insulin on signaling, ubiquitin ligases, and protein turnover in human muscle. American Journal of Physiology: Endocrinology and Metabolism, 295(3), E595–E604.
  3. Staples AW, et al. (2011) Carbohydrate does not augment exercise-induced protein accretion versus protein alone. Medicine & Science in Sports & Exercise, 43(7), 1154–1161.