結論 #
吸収は確かに遅くなります。ただし遅くなるだけで、取り込まれる量も、筋肉づくりに回る量も変わりません。
遅くなることと、減ることは別 #
牛乳に含まれる脂肪や糖は、胃から先へ送り出される速さを落とします。そのぶん血中アミノ酸の上がり方もゆるやかになります。この現象は実験でも確認されています。
タンパク質と糖質を一緒に摂った条件と、タンパク質だけの条件を比べた試験では、一緒に摂った側で消化と吸収が明らかに遅れました。それでも、運動後に筋肉のタンパク質として取り込まれた量には差がありませんでした。遅れは結果に響いていません。
混同しやすいのが、「1回分をまとめて飲むか、少しずつ分けて飲むか」という別の話です。同じホエイ25gを200分かけて10回に分けた条件では、筋タンパク質合成が下がりました。ただしそこで比べているのは200分がかりの分割であって、牛乳で胃の通過が数十分遅れる程度の差とは規模が違います。
牛乳で割れば、そのタンパク質も加わります。カゼインを多く含むため、全体としてはゆっくり長く続く形になります。
つまり #
牛乳で割って損をすることはありません。選ぶ理由は吸収速度ではなく、味とカロリーになります。
出典
- Gorissen SHM, et al. (2014) Carbohydrate coingestion delays dietary protein digestion and absorption but does not modulate postprandial muscle protein accretion. Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, 99(6), 2250–2258.
- West DWD, et al. (2011) Rapid aminoacidemia enhances myofibrillar protein synthesis and anabolic intramuscular signaling responses after resistance exercise. American Journal of Clinical Nutrition, 94(3), 795–803.(200分かけた分割摂取との比較)
- Elliot TA, et al. (2006) Milk ingestion stimulates net muscle protein synthesis following resistance exercise. Medicine & Science in Sports & Exercise, 38(4), 667–674.