結論 #
健康な人では、高タンパク食で腎機能が悪化したという結果は出ていません。この話が広まったのは、腎臓病の人に行われる治療食が、健康な人にも当てはめられたためです。
「治療のための制限」が全員の話になった #
腎機能が低下している人には、タンパク質を制限する食事療法が行われることがあります。弱った腎臓の仕事量を減らすためで、診療ガイドラインにも位置づけられています。ここから「タンパク質は腎臓に負担をかける」という理解が生まれ、健康な人にも広がりました。
健康な成人ではどうか。高タンパク食の群と、標準的または低タンパク食の群を比べた試験を集めた解析では、腎機能の指標である糸球体濾過量に有害な差は見られませんでした。トレーニング経験者が体重1kgあたり3.3g/日を1年続けた試験でも、腎機能の検査値は悪化しませんでした。
高タンパク食で糸球体濾過量が一時的に上がることはあります。ただしこれは処理量が増えたことへの反応で、腎臓が傷んだサインとは区別されています。
注意が必要なのは、すでに腎機能に問題がある人です。この場合は制限が治療の一部になるので、自己判断ではなく医師の指示が優先されます。腎臓は自覚症状が出にくいので、健康診断の結果を確認しておくと判断しやすくなります。
つまり #
健康な人が体重×2g前後を摂る範囲で、腎臓を心配する根拠は見当たりません。腎機能に指摘を受けている人だけ、話が変わります。
出典
- Devries MC, et al. (2018) Changes in Kidney Function Do Not Differ between Healthy Adults Consuming Higher- Compared with Lower- or Normal-Protein Diets: A Systematic Review and Meta-Analysis. Journal of Nutrition, 148(11), 1760–1775.
- Antonio J, et al. (2016) A High Protein Diet Has No Harmful Effects: A One-Year Crossover Study in Resistance-Trained Males. Journal of Nutrition and Metabolism, 2016, 9104792.(体重1kgあたり約3.3g/日を1年)
- 日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン」(慢性腎臓病におけるたんぱく質制限の位置づけ)