結論 #

健康な人で、高タンパク食によって肝機能の検査値が悪化したという報告はありません。アミノ酸の処理を担当しているのは肝臓なので、負担のイメージはつきやすいところです。ただし、処理量が増えることと臓器が傷むことは別の話になります。

肝臓が実際にしている仕事 #

余ったアミノ酸から窒素を切り離し、尿素に変えるのが肝臓の役割です。高タンパク食ではこの作業量が増えます。ここを「負担」と呼ぶなら確かに増えます。ただし消化や代謝は、もともと肝臓が四六時中やっている仕事です。

トレーニング経験者を対象に、体重1kgあたり約3.3g/日を1年間続けた試験では、肝機能を含む血液検査の項目に悪化が見られませんでした。通常の食事の2倍を超える量です。

一方で、肝臓の障害が実際に報告されている経路は別にあります。複数の成分を高濃度で配合したいわゆる健康食品によるもので、タンパク質そのものが原因とされた例ではありません。プロテインを選ぶときに成分表示を見る理由の1つがここにあります。

肝疾患の治療中は、病態によってタンパク質の摂り方が変わります。この場合も医師の指示が優先されます。

つまり #

タンパク質が肝臓を壊すという根拠はありません。気にするなら、タンパク質の量より、何が一緒に入っているかのほうです。

出典
  1. Antonio J, et al. (2016) A High Protein Diet Has No Harmful Effects: A One-Year Crossover Study in Resistance-Trained Males. Journal of Nutrition and Metabolism, 2016, 9104792.(血液検査の結果を含む1年間の追跡)
  2. 厚生労働省「『健康食品』の安全性・有効性情報」(健康食品による健康被害の報告)
  3. 日本生化学会「生化学辞典」(尿素回路)