結論 #
飲んだアミノ酸は筋肉に直行しません。酵素、ホルモン、抗体、ヘモグロビン、皮膚や髪の材料としても同時に使われます。筋トレをしていない人にも需要はあります。
同じ材料が別々のものになる #
体の中でタンパク質を最も多く抱えているのは骨格筋で、成人の体重のおよそ4割を占めます。ただし、それは量の話です。役割の種類でいえば、筋肉は全体の一部にすぎません。
| 使われ先 | 役割 |
|---|---|
| 酵素 | 消化や代謝の反応を進める |
| ホルモンの一部 | インスリンなど、体の調整に関わる |
| 抗体 | 細菌やウイルスに対応する |
| ヘモグロビン | 酸素を運ぶ |
| コラーゲン・ケラチン | 皮膚、腱、髪、爪を作る |
これは理屈だけの話ではありません。運動後にタンパク質を摂った人の測定では、筋肉の合成と同時に、血液中のアルブミンの合成も摂取量に応じて高まりました。1回の食事が、筋肉とそれ以外を同時に動かしています。
これらのタンパク質も毎日入れ替わり続けるので、筋トレの有無に関係なく材料が要ります。日本の食事摂取基準が運動習慣のない成人にも推奨量を定めているのは、この分の需要があるためです。
つまり #
プロテインは筋肉専用の飲み物ではありません。ただし裏を返せば、食事で足りている人には、筋肉以外を理由に粉を足す必要もないということです。
出典
- Moore DR, et al. (2009) Ingested protein dose response of muscle and albumin protein synthesis after resistance exercise in young men. American Journal of Clinical Nutrition, 89(1), 161–168.(筋肉とアルブミンの合成を同時に測定)
- Frontera WR, Ochala J. (2015) Skeletal Muscle: A Brief Review of Structure and Function. Calcified Tissue International, 96(3), 183–195.(骨格筋が体重に占める割合)
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(成人の推奨量の考え方)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「たんぱく質」(体内での働き)