結論 #

避けたほうがよい理由は、栄養が壊れるからではありません。ダマになって飲めなくなるからです。加熱でアミノ酸の並びが変わることはなく、体に入る量もほとんど変わりません。

固まるのは変性が起きるから #

タンパク質は、鎖が折りたたまれた立体構造を持っています。熱を加えるとこの折りたたみがほどけ、ほどけた鎖どうしが絡み合って固まります。これが変性で、卵を焼くと白身が固まるのと同じ現象です。

変性で変わるのは形だけで、アミノ酸のつながり自体は切れません。そもそも胃の中でも、酸によって同じことが起きています。加熱した肉と生の肉で、最終的に取り込めるアミノ酸の種類が変わらないのはこのためです。

問題は実用面です。熱湯を入れると、粉は一瞬で固まります。シェイカーの中でダマになり、振っても戻りません。溶け残った分は飲めずに捨てることになり、その分のタンパク質は体に入りません。密閉したシェイカーに熱湯を入れると、内圧が上がって蓋が飛ぶ危険もあります。

温かくして飲みたい場合は、先に少量の水やぬるま湯でよく溶かしてから、温めた液体を足すと固まりにくくなります。目安は40℃前後までです。

つまり #

熱湯を避けるのは、栄養の問題ではなく溶けなくなるからです。飲める形にならなければ、中身がどれだけ良くても意味がありません。

出典
  1. 日本生化学会「生化学辞典」(タンパク質の熱変性)
  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット「たんぱく質」(消化過程での変性)