結論 #
粒の大きさではなく、電気的な性質の違いでタンパク質を取り出す方法です。タンパク質の純度は高くなりますが、取り出される成分の顔ぶれが膜ろ過とは変わります。
電荷で選り分ける #
タンパク質は、周囲の酸性・アルカリ性の度合いによってプラスにもマイナスにも帯電します。イオン交換法では、樹脂に反対の電荷を持たせてタンパク質だけを吸着させ、あとから条件を変えて回収します。乳糖やミネラル分は吸着しないので、そのまま流れていきます。
この方法の長所は純度です。タンパク質含有率が90%台後半に達する原料も作れます。
短所は選り好みが起きることです。ホエイに含まれるタンパク質は1種類ではなく、β-ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン、免疫グロブリン、ラクトフェリンなどの集まりです。この種類ごとに電荷が違うため、回収されやすいものと、失われやすいものが出ます。膜ろ過では大きさで分けるので、この偏りは起きにくくなります。
| イオン交換法 | 膜ろ過法 | |
|---|---|---|
| 分ける基準 | 電荷 | 粒の大きさ |
| 到達できる純度 | 高い | やや低い |
| タンパク質の構成 | 偏りが出る | もとの比率を保ちやすい |
ただし、この構成の違いが筋肉づくりの結果を変えるという試験は見当たりません。含有率の数字に差が出るところまでが、確認できている範囲です。
つまり #
イオン交換WPIは純度を優先した製法です。数字は上がりますが、その分ホエイ本来の成分構成からは離れます。どちらが優れているかを決める根拠はありません。
出典
- Smithers GW. (2008) Whey and whey proteins—From 'gutter-to-gold'. International Dairy Journal, 18(7), 695–704.(イオン交換法と膜法の比較)
- Hoffman JR, Falvo MJ. (2004) Protein – Which is Best? Journal of Sports Science and Medicine, 3(3), 118–130.(ホエイタンパク質の画分)