結論 #

Whey Protein Hydrolysate の略で、ホエイを酵素であらかじめ短く切ったものです。消化は確かに速くなりますが、切るほど苦味が強くなり、価格差に見合うかを判断できる材料もまだありません。

先に切ってあることの意味 #

消化とは、アミノ酸の長い鎖を切る作業です。加水分解ではその一部を工場で済ませます。どこまで切ったかを示すのが分解度で、これが製品の性質を決めます。

分解の程度 中身 特徴
浅い 比較的長いペプチドが中心 苦味が出にくい。消化の短縮は小さい
深い 2〜3個の短いペプチドとアミノ酸が中心 消化は速い。苦味が強く出る

苦味が出るのは、タンパク質の内側に隠れていた、水になじみにくい性質のアミノ酸が、鎖を切ることで表に出るためです。深く分解した製品ほど飲みにくくなり、味付けで隠す必要が出ます。分解と味の調整の手間は、価格にも乗ってきます。

速さは結果につながるのか #

加水分解で消化吸収が速くなること自体は、カゼインとその加水分解物を比べた試験で確認されています。速さが結果につながるかは、報告が割れています。

  • ホエイと加水分解ホエイを45gずつ比べた試験では、インスリンの反応に差は出たが、血中アミノ酸で明確に増えたのは一部だけだった
  • 高齢男性では、加水分解カゼインでも、もとから速いホエイには及ばなかった
  • 一方、伸張性運動で筋力を落とした39人の試験では、加水分解ホエイの群だけが6時間後に筋力を取り戻した(単回・1試験)

数か月使って筋量を比べた試験は見当たりません。

つまり #

速さは本物で、回復を早めた報告もありますが、価格差の判断材料がありません。当サイトが調べた67商品にもWPH単体はなく、日本では選択肢にもなりません。

出典
  1. Koopman R, et al. (2009) Ingestion of a protein hydrolysate is accompanied by an accelerated in vivo digestion and absorption rate when compared with its intact protein. American Journal of Clinical Nutrition, 90(1), 106–115.(加水分解による消化・吸収の加速)
  2. Power O, Hallihan A, Jakeman P. (2009) Human insulinotropic response to oral ingestion of native and hydrolysed whey protein. Amino Acids, 37(2), 333–339.(ホエイと加水分解ホエイ45gの比較)
  3. Pennings B, et al. (2011) Whey protein stimulates postprandial muscle protein accretion more effectively than do casein and casein hydrolysate in older men. American Journal of Clinical Nutrition, 93(5), 997–1005.
  4. Buckley JD, et al. (2010) Supplementation with a whey protein hydrolysate enhances recovery of muscle force-generating capacity following eccentric exercise. Journal of Science and Medicine in Sport, 13(1), 178–181.(39人、単回投与)
  5. Smithers GW. (2008) Whey and whey proteins—From 'gutter-to-gold'. International Dairy Journal, 18(7), 695–704.(加水分解物の苦味)
  6. 当サイトが確認した商品構成(2026年9月14日時点、日本で広く買える主要なプロテイン67商品)