結論 #

タンパク質は筋肉の材料であると同時に、体を動かす仕組みそのものです。消化を進める酵素、病原体を捕まえる抗体、酸素を運ぶヘモグロビン、皮膚や髪の構造——どれもタンパク質でできています。水分を除けば、体の構成成分として最も多いのがタンパク質です。

体の中で何を担っているのか #

成人の体はおよそ60%が水分、16〜18%がタンパク質です。体重60kgなら約10kgがタンパク質にあたります。その働きは、材料としての役割だけではありません。

役割 代表例 担っていること
構造 コラーゲン、ケラチン 皮膚、骨、腱、髪、爪の形を保つ
酵素 ペプシン、アミラーゼ 消化や代謝の化学反応を進める
輸送 ヘモグロビン、アルブミン 酸素や栄養素を運ぶ
防御 免疫グロブリン 体内に入った異物を捕らえる
調節 インスリン、成長ホルモン 体の働きを指示・調整する

しかも体のタンパク質は作られたら固定されるわけではなく、常に壊されて作り直されています。この入れ替わり(ターンオーバー)は成人で1日あたり体重1kgにつき3〜4g、体重60kgなら180〜240gに達します。食事から摂る量(推奨量で50〜65g)より多いのは、分解されたアミノ酸の大部分が再利用されるためです。

つまり #

タンパク質は「筋肉をつけたい人の栄養素」ではなく、生きているだけで毎日使われ、毎日作り直されている材料です。運動しない人にも必要量が設定されているのは、このためです。

出典
  1. 厚生労働省 e-ヘルスネット「たんぱく質」(体内でのはたらきと構成割合)
  2. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」たんぱく質の推奨量
  3. Waterlow JC. (2006) Protein Turnover. CABI Publishing.(全身タンパク質代謝回転量:成人で約3〜4g/kg体重/日)